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こんにちは。

独立行政法人国民生活センターのホームページによると、借り主が賃貸住宅を退去する際に、ハウスクリーニングやクロス張替え等の原状回復費用として敷金が返金されない、敷金を上回る金額を請求されたという原状回復トラブルが2020年は13,364件、2021年は14,111件、2022年は12,856件あったそうです。これだけ多くの相談があるのは驚きですし、水面下ではもっと多くのトラブルが発生しているのではないでしょうか。事例としては下記のようなものが報告されています。

・賃貸マンションの入居時にルームクリーニング代を支払った際、「退去時のルームクリーニング代は不要」と言われたにもかかわらず、退去時に請求され納得できない。

・賃貸アパートを退去後、原状回復費用の清算書が届いた。入居時から傷ついていた床等の原状回復も求められ納得いかない。

・10年以上住んだ賃貸アパートを退去したらクロスの張替えなど高額な原状回復費を請求された。全額支払う必要があるのか。

・6カ月居住した賃貸アパートを退去した。玄関の壁紙のわずかな傷で全面の張替え費用を請求され不満だ。

・管理会社の了解を得て賃貸マンションの光回線工事をしたが、退去時に、工事は許可していないと言われ、原状回復費用を請求された。

ありがちな内容ですね。社員の入れ替わりが激しい不動産業者だと、入居の際の担当者と口約束をしたものを、その担当が退職し後の担当者は知らないから対応できないといった経緯のものもあると思います。ただ、お客さんからしたらそんなことは関係ないですから、会社として約束を守ってほしいと考えて当然です。それでも自衛のためには契約書外の約束をする場合は書面にしてもらうよう頼むだとか、入居時の傷は写真に残し、業者にもあらかじめしっかり確認し一筆もらうくらいが安心できるかもしれません。そして敷金返還の具体的な動きです。電話や手紙を出すのも一定の効果を期待できますが、整えた文章にて内容証明郵便を発送するのも話し合い解決の大きな助けになります。基本的には相手の言い分に対して、法や条例を当てはめ趣旨にそぐわない旨を述べた上で、「不当だから返金してほしい、しかし基本的には争うつもりはない」といった逃げ道をつくった文章にすれば、相手方も争ってくる可能性は低くなります。弊所でも敷金返還に関しての内容証明の作成代行及び書類作成の相談を行っております。お気軽に連絡ください。

内容証明作成などで、おさえておきたい法律などを列挙します。お役に立てれば幸いです。

催告による時効の完成猶予)

民法第150条

1.催告があったときは、その時から6箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。

2.催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、前項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない。

(債権等の消滅時効)
民法第166条
1.債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。
2.債権又は所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から二十年間行使しないときは、時効によって消滅する。
3.前二項の規定は、始期付権利又は停止条件付権利の目的物を占有する第三者のために、その占有の開始の時から取得時効が進行することを妨げない。ただし、権利者は、その時効を更新するため、いつでも占有者の承認を求めることができる。

(保証人の責任等)

第446条

1保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。

2保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。

3保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。

(催告の抗弁)

第452条

債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又はその行方が知れないときは、この限りでない。

(検索の抗弁)

第453条

債権者が前条の規定に従い主たる債務者に催告をした後であっても、保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない

(連帯保証の場合の特則)

第454条

保証人は、主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、前二条の権利を有しない

(消費貸借)

民法第587条

消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる。

(消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効等)

第九条 次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。

 当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分

 当該消費者契約に基づき支払うべき金銭の全部又は一部を消費者が支払期日(支払回数が二以上である場合には、それぞれの支払期日。以下この号において同じ。)までに支払わない場合における損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、支払期日の翌日からその支払をする日までの期間について、その日数に応じ、当該支払期日に支払うべき額から当該支払期日に支払うべき額のうち既に支払われた額を控除した額に年十四・六パーセントの割合を乗じて計算した額を超えるもの 当該超える部分

 事業者は、消費者に対し、消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項に基づき損害賠償又は違約金の支払を請求する場合において、当該消費者から説明を求められたときは、損害賠償の額の予定又は違約金の算定の根拠(第十二条の四において「算定根拠」という。)の概要を説明するよう努めなければならない。

(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)

第十条 消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。

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