タクシー会社の入社祝い金

タクシー会社に入社した際に入社祝い金がもらえるという制度があります。これについて、入社から〇年以内に退職した場合は返金してもらうという規則の会社があるようです。

入社祝い金の判例で有名なのは、東京地判平15.3.31 日本ポラロイド事件です。労働者が、入社時に会社から、1年以内に自発的に退職した場合には返還するとの条件付きで入社祝い金200万円の支給を受けました。労働者が1年を経過する前に退職したので、会社が入社祝い金の返還を求めて労働者を訴えました。この事件の判決の要旨は、「暴行、脅迫、監禁といった物理的手段のほか、労働者に労務提供に先行して経済的給付を与え、一定期間労働しない場合は当該給付を返還する等の約定を締結し、一定期間の労働関係の下に拘束するという、いわゆる経済的足止め策も、その経済的給付の性質、態様、当該給付の返還を定める約定の内容に照らし、それが当該労働者の意思に反して労働を強制することになるような不当な拘束手段であるといえるときは、労働基準法の趣旨に反し、当該給付の返還を定める約定は、同法13条等により無効である」との判断でした。つまり入社祝い金は、経済的足止め策であり、違約金等の性質も有し、高額であったので労働者が退職を迷う可能性があることから入社祝い金規定を無効と判断し、会社側の敗訴となったのです。

最近は、会社側もいろいろ対策を取っているようです。労使協定で給与から入社祝い金を控除できる仕組みをつくっていたり、入社祝い金ではなく貸付金だと主張するなどです。

1か月でやめて逃げてしまうような労働者もいるようですから会社も警戒するのはわかりますが、入社祝い金制度ではなく従業員を囲い込める制度の創設を検討したほうがいいかもしれませんね。入社祝い金の魅力は、早くもらえることにあるのでしょうから資金的な需要を感じている労働者にとっては魅力的に映るのは否定しません。もし、入社祝い金を継続させるなら社労士の先生と相談して就業規則や祝い金制度の改良を検討されるのをおススメいたします。

入社祝い金の返金をさせられた方は、内容証明郵便を発送できる可能性がありますので、弊所まで連絡下さい。

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