「家庭裁判所」と聞くと、離婚調停や遺産分割などを思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、話し合い(調停)で解決できない場合、最終的な判断を裁判所に求める「訴訟」という手続きに進むことがあります。
今回は、その中でも特に夫婦や親子といった身分関係に関する争いを解決するための**「人事訴訟(じんじそしょう)」**について、ブログ形式で分かりやすく解説します。
そもそも「人事訴訟」って何?
「人事訴訟」とは、人の基本的な身分関係の形成や存否を確定させるための裁判手続きのことです。難しく聞こえるかもしれませんが、具体例を見るとイメージしやすいでしょう。
家庭裁判所が扱う人事訴訟には、主に以下のようなものがあります。
- 夫婦関係に関するもの
- 離婚訴訟: 話し合いで離婚の合意ができない場合。
- 婚姻無効・取消しの訴え: 婚姻の届出に当事者の意思がなかった場合や、詐欺・強迫によって結婚した場合など。
- 実の親子関係に関するもの
- 認知の訴え: 父親が自分の子であると認めない場合。
- 嫡出否認の訴え: 夫が、妻が婚姻中に妊娠した子が自分の子ではないと主張する場合。
- 親子関係存在・不存在確認の訴え: 血縁上の親子関係があるか、ないかを確認する場合。
- 養親子関係に関するもの
- 離縁の訴え: 養子縁組を解消したいが、話し合いで合意できない場合。
- 養子縁組無効・取消しの訴え: 養子縁組の意思がなかった場合など。
これらの訴訟は、私たちの生活の根幹に関わる非常に重要な手続きです。
いきなり訴訟はできない?「調停前置主義」という大原則
人事訴訟の大きな特徴の一つに**「調停前置主義(ちょうていぜんちしゅぎ)」**があります。
これは、**「訴訟を起こす前に、まずは家庭裁判所で調停(話し合い)をしなければならない」**というルールです。
家庭内の問題は、できる限り当事者同士の話し合いで円満に解決することが望ましいという考え方に基づいています。いきなり法廷で争うのではなく、まずは調停委員を交えて冷静に話し合う機会を設けるのです。
離婚や離縁の訴訟をしたいと考えた場合、まずは家庭裁判所に「夫婦関係調整調停(離婚)」や「離縁調停」を申し立てる必要があります。そして、その調停が不成立に終わった場合に、初めて人事訴訟を提起することができるようになります。
人事訴訟の流れ(調停不成立後)
調停が不成立となった後、人事訴訟は以下のように進んでいきます。
- 訴えの提起(提訴) 訴えを起こす側(原告)が、訴状を家庭裁判所に提出します。訴状には、どのような判決を求めるか(請求の趣旨)や、その理由(請求の原因)などを記載します。
- 口頭弁論 裁判所の公開法廷で、原告と訴えられた側(被告)が、それぞれの主張を述べたり、証拠を提出したりします。手続きは裁判官が指揮し、通常は複数回の期日が開かれます。
- 尋問 必要に応じて、当事者本人や証人に対して、裁判官や双方の代理人弁護士が質問をします。(当事者尋問、証人尋問)
- 和解の試み 訴訟の途中でも、裁判官から和解が勧められることがあります。当事者が合意すれば、和解によって訴訟を終えることも可能です。
- 判決 和解が成立しない場合、裁判官が全ての主張や証拠を検討し、最終的な判断として「判決」を言い渡します。
判決に不服がある場合は、高等裁判所に控訴することができます。
まとめ
人事訴訟は、調停というワンクッションを置くことで、できるだけ円満な解決を目指しつつ、それが難しい場合には最終的な司法的判断を示すという二段階の構造になっています。
普段の生活ではあまり馴染みのない言葉かもしれませんが、誰にでも起こりうる身近な問題に関する法律手続きです。このブログが、家庭裁判所の役割や人事訴訟について理解を深める一助となれば幸いです。

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