収集運搬の許可取消

東京都が公開している産業廃棄物処理業者への行政処分情報を確認する機会がありました。そこで目にしたのは、決して他人事ではない厳しい現実です。

許可取消のリアルな数字

資料を読み込んでいくと、驚くべきことに、今年だけですでに10数件もの事業者が許可取消の処分を受けていました。これは決して少ない数字ではありません。昨日まで当たり前にあった事業の権利が、ある日突然失われてしまうのです。

許可が取り消される理由は様々ですが、あくまで私の肌感覚で分類すると、その内訳は以下のようになります。

  • 破産によるもの:約2割
  • 廃棄物処理法違反によるもの:約3割
  • 役員等の欠格要件該当によるもの:約5割

経済的な理由である破産は避けがたい側面もありますが、残りの「廃棄物処理法違反」と「欠格要件該当」は、日々の意識次第で防ぐことができるはずのものです。

法令遵守は事業の「土台」

廃棄物処理法違反の内容は、マニフェストの不交付や不実記載、無許可業者への再委託など多岐にわたります。ここでは詳細に触れませんが、共通して言えるのは、法令を軽視した結果だということです。

「これくらいなら大丈夫だろう」 「昔からこうやっていたから」

そういった小さな油断が、事業の土台そのものを揺るがす大きな問題に発展します。当たり前のことですが、法律で定められたルールを一つひとつ守って事業を行う。この基本的なコンプライアンス意識を、社内全体で常に共有し続けることが何よりも重要です。

最も多い取消理由「欠格要件」の落とし穴

そして、最も注意すべきであり、私の肌感覚で取消理由の半数以上を占めるのが「欠格要件への該当」です。

これは、法人の役員や従業員などが、暴力団員であったり、特定の法律(暴行、傷害、脅迫など)に違反し、罰金刑以上の刑に処せられたりした場合に、許可が取り消されるというものです。

言うまでもなく、覚せい剤取締法違反などは論外です。しかし、私たちがより身近な問題として捉えるべきは、**「傷害事件」**のような突発的な暴力行為です。

例えば、プライベートな時間での些細な口論。お酒の席でのいざこざ。 そこでカッとなり、感情に任せて手を出してしまったらどうなるでしょうか。

その一瞬の行動が「傷害事件」となり、罰金刑を受けたとします。その瞬間、あなたやあなたの同僚は「欠格要件」に該当し、会社は収集運搬業の許可を失うのです。

従業員一人の、あるいは役員自身の、ほんの一時の感情的な行動のために、他の従業員の生活も、築き上げてきた取引先との信頼も、会社の未来も、すべてが失われます。これほど悲しく、理不尽なことはありません。

カッとなりそうな場面に遭遇したとき、ぜひ思い出してください。その拳を握りしめる前に、「この行動は会社を潰すことになる」と。一呼吸おいて、その場をぐっと堪える冷静さこそが、あなた自身と会社の未来を守る最大の防御策なのです。

許可を取得すること以上に、それを「維持」し続けることは大変です。日々の法令遵守はもちろん、従業員一人ひとりが「会社の看板を背負っている」という自覚を持つことが、リスク管理の第一歩と言えるでしょう。

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