【行政書士が解説】有価物・古物・産業廃棄物の境界線と法務リスク

事業を運営する上で避けて通れないのが「不用品の取り扱い」です。

「価値があるから売れるはず」「リサイクルするから産廃ではない」という思い込みは、時に廃棄物処理法違反(無許可業者への委託)や古物営業法違反といった、経営に致命的なダメージを与えるリスクを含んでいます。

今回は、行政書士の視点から、これら3つの定義の違いと実務上の注意点を整理します。


1. 3者の定義と根拠法の違い

実務上、最も重要なのは「その物品がどの法律の射程範囲にあるか」を見極めることです。

分類定義の考え方根拠法必要な許可・資格
有価物占有者が自ら利用し、または他人に有償で譲渡できるもの。(特になし)基本不要(※金属くず条例等を除く)
古物一度使用された物品、または使用のために取引されたもの。古物営業法古物商許可(公安委員会)
産業廃棄物事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、法で定められた20種類。廃棄物処理法産業廃棄物収集運搬・処分業許可

2. 行政書士がチェックする「判断の急所」

実務において、行政当局や警察がどこを見ているのか。そのポイントは以下の3点です。

① 「総合判断説」による産廃判定

「有価物か廃棄物か」の判断は、単に本人の主観(捨てたくないという意思)ではなく、以下の5つの要素から総合的に判断されます(平成25年環境省通知)。

  1. 物の性質(利用価値があるか、適切に保管されているか)
  2. 排出の状況(計画的に排出されているか)
  3. 通常の取扱い形態(製品として市場性があるか)
  4. 取引の価値ここが重要! 運搬費を差し引いても売却利益が出るか)
  5. 占有者の意思

② 「逆有償」の罠

物品を売った代金よりも、運搬費や処理手数料の方が高い場合、それは「逆有償」と呼ばれ、法的には「産業廃棄物」として扱われます。 この場合、産廃の収集運搬許可を持たない業者に引き渡すと、排出事業者側が「委託基準違反」に問われるため、非常に危険です。

③ 古物営業法における「営業性」

単なる自社備品の売却であれば古物商許可は不要ですが、「中古品を買い取って(下取りして)転売する」スキームが組み込まれている場合、即座に古物商許可が必要となります。無許可営業は「3年以下の懲役または100万円以下の罰金」という重い罰則の対象です。


3. 実務担当者が守るべきコンプライアンス

トラブルを未然に防ぐため、以下の3ルールを徹底してください。

  1. 「逆有償」チェックの徹底売却価格だけでなく、運賃や手数料を含めた「トータル収支」がプラスであることを契約書や伝票で証明できるようにしておく。
  2. 相手方の許可証の有効性確認「古物商」なのか「産廃業者」なのか、相手が持っている許可が今回の取引に適合しているか、有効期限が切れていないかを必ず確認する。
  3. 書面の整備有価物であれば「売買契約書」、産廃であれば「委託契約書」と「マニフェスト」。これらが欠けていると、後の立入検査で弁明が困難になります。

まとめ:迷ったら専門家へ

有価物、古物、産業廃棄物の境界線は非常に曖昧であり、自治体によって判断が異なるケースも珍しくありません。

「これくらい大丈夫だろう」という自己判断が、企業の社会的信用を失墜させる事態を招くこともあります。

スキーム構築や許可申請でお悩みの際は、許認可の専門家である行政書士へお早めにご相談ください。

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