ゴミ収集車の火災は他人事ではありません。廃棄物処理法と事業リスクの観点から考える「小型充電式電池」の適正処理

近年、廃棄物処理の現場で「小型充電式電池」が原因の火災が多発していることをご存知でしょうか 。これは単なる事故ではなく、事業者の許可取り消しや損害賠償にも繋がりかねない、重大な経営リスクです。本日は、行政書士の視点から、この問題について解説します。

廃棄物処理における火災リスクとその法的責任

廃棄物の収集運搬や中間処理を行う事業者の皆様は、廃棄物処理法に基づき、適正な処理を行う義務を負っています。万が一、収集した廃棄物が原因で火災を発生させてしまった場合、どのようなリスクが考えられるでしょうか。

  • 行政処分: 自社の収集運搬車両や処理施設で火災が発生した場合、自治体からの指導はもちろん、事業許可の取り消しや停止といった重い行政処分を受ける可能性があります。
  • 損害賠償責任: 火災によって第三者の生命や財産に損害を与えた場合、莫大な損害賠償責任を負う可能性があります。
  • 従業員の安全配慮義務違反: 労働契約法上、事業者は従業員が安全に働けるよう配慮する義務を負っています。火災は従業員を直接的な危険に晒すものであり、この義務に違反したと見なされる可能性があります。

これらのリスクは、すべて事業の継続性を揺るがす深刻なものです。

火災の原因「小型充電式電池」とは?

火災の主な原因となっているのは、リチウムイオン電池、ニカド電池、ニッケル水素電池といった「小型充電式電池」です 。これらはスマートフォンやモバイルバッテリー、加熱式たばこ、コードレス掃除機など、多くの身近な製品に使用されています

これらの電池は、強い圧力を受けて損傷すると発火する危険性があります 。一般ゴミに混入された電池が、ゴミ収集車の圧縮板で潰されることで発火に至るケースが後を絶ちません

排出事業者・市民の皆様へのお願い

事業活動でこれらを使用した機器を廃棄する排出事業者の皆様、そして市民の皆様も、他人事ではありません。廃棄物処理法では、排出者にも適正な分別と排出の責任が課せられています。

お住まいの市町村のルールに従い、小型充電式電池を分別・リサイクルしていただくことが、法令遵守と社会全体の安全確保に繋がります

【正しい処分方法】

  • 電池が外せる場合: 端子部分を絶縁テープで覆い 、家電量販店などの協力店に設置された「充電式電池リサイクルBOX」へ入れてください 。
  • 電池が外せない場合: 無理に外さず 、製品ごと自治体の回収BOXや、小型家電回収協力店へ持ち込んでください 。

詳細なルールは、必ず自治体のホームページ等でご確認ください

事業の安定的な継続のためには、日頃からのコンプライアンス意識とリスク管理が不可欠です。廃棄物処理に関する法令は複雑であり、常に最新の情報を把握しておく必要があります。


参考資料: 九都県市首脳会議廃棄物問題検討委員会 配布資料

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