こんにちは。行政書士の濱口です。
「遺言書を書けば、自分の思い通りに財産を分けられる」 そう思っていませんか?
確かに公正証書遺言は、家庭裁判所での検認が不要など、非常に強力な法的効力を持ちます。しかし、「何でも書ける(何でも実現する)」わけではありません。
さいたま市や川越市、越谷市など県内の公証役場でも、法的に無効な内容やトラブルの種になる内容は作成を断られることがあります。
今回は、行政書士の視点から「公正証書遺言で法的にできること、できないことの境界線」について、わかりやすく解説します。
1. 公正証書遺言で「法的にできること」(法的効力がある事項)
まずは、法律(民法)で定められた「法的効力が認められる事項」です。これらは遺言書に記載することで、強い強制力を持ちます。
① 財産の処分・配分方法の指定
「誰に」「何を」「どれくらい」渡すかを指定できます。
- 「自宅の土地建物は長男に相続させる」
- 「預貯金はすべて妻に相続させる」
- 「お世話になったNPO団体に100万円を遺贈(寄付)する」
② 遺言執行者の指定
これが非常に重要です。遺言の内容を実現してくれる責任者(遺言執行者)を指定できます。 指定がない場合、相続人全員の実印が必要になる手続きが出てくるなど、スムーズに進まないことがあります。行政書士等の専門家を指定することも可能です。
③ 子の認知
婚姻関係にないパートナーとの間に子供がいる場合、遺言によって認知し、法定相続人とすることができます。
④ 推定相続人の廃除(およびその取り消し)
自分に対して虐待や重大な侮辱を与えた相続人に対し、相続権を剥奪する意思表示ができます(ただし、最終的には家庭裁判所の判断が必要です)。
2. 公正証書遺言でも「できないこと」(法的な限界)
ここが今回の重要ポイントです。公証人のチェックが入る公正証書遺言であっても、以下の内容は「書けない」あるいは「書いても無効・トラブルの原因」となります。
① 「遺留分」を完全に無視した強制
兄弟姉妹以外の相続人には、最低限保障された遺産取得分である「遺留分(いりゅうぶん)」があります。 例えば、「愛人に全財産を譲る。妻や子には一銭も渡さない」という遺言自体は作成可能ですが、後々、妻や子から愛人に対して「遺留分侵害額請求」が行われ、泥沼の争いになる可能性が高いです。
行政書士のポイント: 公証人は「遺留分を侵害する遺言」でも作成はしてくれますが、「争いになりますよ」と言われる可能性もあります。あらかじめ遺留分相当の現金を渡す手配をするなど、「争わせない設計」をすることも重要です。
② 公序良俗に反する内容
- 「妻と離婚したら財産を譲る」
- 「犯罪行為を行うことを条件に財産を譲る」 これらは無効となります。公証役場でも作成を拒否されます。
③ 借金(債務)の承継者の指定
「私の借金はすべて長男が引き継ぐ」と書いても、債権者(銀行など)の承諾がなければ法的効力はありません。 債権者からすれば、「返済能力があるか分からない人に勝手に借金を押し付けられても困る」からです。法定相続分に従って全員が引き継ぐのが原則です。
④ 一身専属的な権利の承継
生活保護受給権や、特定の資格に基づいた地位などは相続できません。
3. 「付言事項(ふげんじこう)」の活用で想いを伝える
法的効力はありませんが、遺言書の最後に「家族へのメッセージ」を残すことができます。これを「付言事項」と呼びます。
- 「兄弟仲良く助け合って暮らしてください」
- 「長男に多く財産を残したのは、障がいのある次男の面倒を見てほしいからです」
- 「お母さんを大切にしてください」
法的な強制力はなくても、この「付言」があることで、遺留分請求を思いとどまってくれたり、家族の納得感が生まれたりするケースもございます。
4. 埼玉県での公正証書遺言作成はご相談ください
公正証書遺言は、作成時に証人2名の立ち会いが必要です。また、さいたま地方法務局所属の公証人との事前打ち合わせも欠かせません。
「自分の書きたい内容は、法的に通るのか?」 「埼玉県の公証役場(浦和、大宮、川越、越谷など)はどこを使えばいいのか?」
迷われた際は、ぜひ地元の行政書士にご相談ください。 「できないこと」を回避しつつ、あなたの「叶えたいこと」を最大限に法的な形にするお手伝いをいたします。
まとめ
- できること: 財産の指定、執行者の指定、認知など。
- できないこと: 遺留分の完全無効化、借金の押し付け、公序良俗違反。
- 大切なこと: 付言事項で「想い」を添えて、争いを防ぐ。
埼玉県で遺言書作成をお考えの方は、まずは無料相談からお問い合わせください。

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