産業廃棄物収集運搬業の許可申請を進めていくと、最後に必ず現れるのが「誓約書」です。
一見すると「法令を遵守します」というだけの定型文に見えますが、実務上、この1枚は他のどの計画書とも異なる性質を持っています。それは、貴社の「適格性」を経営者自身の責任で担保するという重い役割です。
1. 誓約書は何を「誓約」しているのか?
この書類の核心は、廃棄物処理法第7条第5項などに規定される「欠格条項」に該当しないことの証明です。
- 過去に産廃法違反で罰金以上の刑を受けていないか
- 役員の中に、暴力団員等の反社会的勢力が関わっていないか
- 破産者で復権を得ない者ではないか
- 精神の機能の障害により業務を適正に行えない者ではないか
これらに対し、「一切該当しません」と宣言するのが誓約書です。
2. 行政書士が「身辺調査」を勧める理由
「該当しないはずだ」という思い込みは、申請において最も危険です。行政書士は、誓約書に記名していただく前に、役員の方々の過去の経歴や、登記上のステータスに不安要素がないかを慎重にヒアリングします。
実務上のポイント: 埼玉県等の自治体は、提出された誓約書に基づき、警察当局等へ照会をかける仕組みを持っています。もし、本人が「忘れていた」程度の軽い罰金刑であっても、それが欠格事由に該当する場合、「虚偽の申請」とみなされ、許可が下りないだけでなく厳しい処分を受けるリスクがあります。
3. 「役員」の範囲に注意
誓約が必要なのは、代表取締役だけではありません。
- 取締役(監査役を含む)
- 出資者(5%以上の持分を持つ株主など)
- 支店長(政令で定める使用人)
これら全員が「クリーンであること」を会社として誓わなければなりません。組織が大きくなればなるほど、この誓約書の裏付けをとる作業は重要になります。
4. 信頼の土台としての「誠実性」
産廃業は、排出事業者から「ゴミ」という負の財産を預かる仕事です。万が一、不適切な処理が行われれば、排出事業者の信頼まで失墜させてしまいます。
誓約書を提出するということは、埼玉県に対して「私たちは、法を犯すリスクを徹底的に排除した、誠実な組織である」というブランドを証明することに他なりません。この「誠実性」こそが、ビジネスにおける最大の武器になります。
まとめ
誓約書は、許可申請というパズルの最後の一片です。この1枚を自信を持って提出できるよう、社内のガバナンスを再確認し、クリーンな体制で申請に臨みましょう。

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