近年、地方交通の空白を補う制度として「自家用自動車有償貸渡業」が注目されています。タクシーや運送業とは異なり、自家用車を有償で貸し出す形で地域のニーズに応えるこの制度。その安全運用において欠かせないのが「整備管理者」の存在です。
整備管理者は、単なる資格者ではなく、制度の信頼性を支える中心的な役割を担っています。
🧾 自家用有償貸渡業とは?
この制度は、道路運送法第78条第2項を根拠としており、白ナンバーの自家用車を事業者が有償で貸し渡すことで成り立ちます。災害時の応援輸送、福祉支援、高齢者の移動手段など、さまざまな場面で活用されています。
貸渡業の許可を取得することで、運送行為ではなく“貸渡行為”として、柔軟な交通支援が可能となります。
🔧 整備管理者の設置が義務になるケース
整備管理者の選任義務は、車両の台数や種類に応じて発生します。以下に概要をまとめます。
| 車両の種類 | 義務となる台数 | 根拠規定 |
|---|---|---|
| 普通乗用車(総重量8トン未満) | 10台以上 | 道路運送車両法施行規則 第31条の3 |
| 大型トラック(総重量8トン以上) | 5台以上 | 同上 |
| 中型・大型バス(定員12人以上) | 1台以上 | 同上 |
例えば、普通車を9台以下で運用している事業者には設置義務はありませんが、10台以上となると整備管理者の配置が求められます。
👨🔧 整備管理者に求められる資格と業務内容
整備管理者として選任されるには、以下のような資格要件が一般的に求められます。
- 二級以上の自動車整備士資格
- 実務経験2年以上
- 国土交通省指定の整備管理者講習修了
業務内容としては、車両の点検・整備計画の策定、記録簿の作成・保管、運転者への周知、行政監査への対応などがあります。
整備を外部委託する場合でも、責任の所在や報告体制が事業者に求められるため、管理体制の明確化が重要です。
📎 実務で注意すべきポイント
事業開始時には整備管理者の選任義務がなかったとしても、車両台数が増えることで義務が発生する場合があります。こうした見落としは、行政指導の対象となりやすいため、定期的な制度確認が欠かせません。
また、記録簿の未整備や点検の未実施は、事業の安全性や社会的信頼にも影響します。
✒ まとめ
整備管理者の役割は、「法令遵守のために必要な存在」ではなく、「地域交通の安全性と制度運用の信頼性」を支えるキーパーソンです。
自家用自動車有償貸渡業を正しく活用し、地域社会の移動支援を継続するためには、安全と整備の体制整備が不可欠です。整備管理者の選任は、制度の“仕組みの裏側”を支える重要なピースであることを改めて意識したいところです。

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