こんにちは、行政書士です。
宅建業の免許申請(新規・更新)において、お客様に「役員全員分の身分証明書をご用意ください」とお願いすると、高確率で返ってくるのがこれです。
「運転免許証のコピーでいいですか?」 「マイナンバーカードのコピーを送りますね」
…違います!
宅建業法の手続きにおいて「身分証明書」と言われたら、それはお財布に入っているカードのことではありません。 今回は、取得のハードルが意外と高い、この「身分証明書」の正体と取得のポイントを解説します。
1. 宅建申請における「身分証明書」とは?
この書類の正体は、「破産者名簿に載っていないこと」「後見登記の通知を受けていないこと」などを証明する公的書類です。 簡単に言えば、「経済的・法的に、会社役員としての活動を制限される状態ではありません」ということを、お役所が証明してくれる紙の書類です。
2. どこで手に入る?(最大の落とし穴)
この書類を取得できる場所は、「本籍地」の市区町村役場です。
ここが一番の間違いポイントです。
• × 住民票がある(住んでいる)市役所
• ○ 本籍地がある市役所・町村役場
例えば、「住まいはさいたま市だけど、本籍は実家のある北海道」という方の場合、北海道の役場から取り寄せる必要があります。郵送請求も可能ですが、往復の日数がかかるため、スケジュールの管理が非常に重要になります。
3. 誰の分が必要?
原則として、会社の経営に関わる「役員等」全員分が必要です。 具体的には、以下のポジションにある方々です。
• 代表取締役、取締役
• 監査役(※忘れがちですが必須です!)
• 政令使用人(支店長など)
• 相談役、顧問
これらの方々全員について、「本籍地」を確認し、それぞれの役所から取り寄せる必要があります。
4. 外国籍の役員がいる場合は?
外国籍の方には日本の戸籍(本籍)がないため、この「身分証明書」は発行されません。 その代わりとして、以下の書類を提出します。
• 日本に住んでいる場合: 住民票(国籍等の記載があり、マイナンバーの記載がないもの)
• 海外に住んでいる場合: 住所記載のあるパスポートの写し 等
5. もう一つの書類との混同に注意
申請時には、よく似た名前の書類として「登記されていないことの証明書」もセットで必要になります。 違いを整理しておきましょう。
| 書類名 | 身分証明書 | 登記されていないことの証明書 |
|---|---|---|
| 証明内容 | 破産者でないこと等 | 成年被後見人等でないこと |
| 取得場所 | 本籍地の市区町村役場 | 法務局(本局) |
名前も内容も似ていますが、「行く場所(請求先)」が全く違います。 行政書士にご依頼いただく場合は、委任状を頂ければこれら面倒な公的書類の収集も代行可能です。
まとめ
「身分証明書」は、ただの本人確認資料ではなく、役員としての適格性を証明する重要な公的書類です。
• 本籍地でしか取れない
• 3ヶ月以内のものが必要
• 監査役も必要
更新期限ギリギリになって「本籍地が遠方で取り寄せに1週間かかる!」と慌てないよう、早めの準備を心がけましょう。

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