はじめに
離婚は人生の大きな転機です。お二人が話し合って合意に至り、無事に離婚届を提出できたとしても、それで全てが終わりではありません。特に、養育費や財産分与といったお金に関する取り決め、そして子どもの親権や面会交流について、書面による証拠を残さずに離婚してしまうと、将来思わぬトラブルに巻き込まれるリスクが高まります。
行政書士として多くの離婚案件に関わる中で、「あの時、ちゃんと書類にしておけばよかった」という後悔の声を何度も耳にしてきました。
今回は、公正証書なしで離婚することの具体的なリスクと、よくある「言った言わない」の泥沼を避けるための確実な方法について解説します。
公正証書なしで離婚する3つの大きなリスク
公正証書とは、公証役場で公証人という法律の専門家が作成する公文書です。これを作成せずに離婚する場合、特に以下の3つのリスクに注意が必要です。
リスク1:養育費や慰謝料の未払いが発生しても強制執行ができない
最も大きなリスクは、養育費や慰謝料が支払われなくなった場合、直ちにご自身の力で相手の財産を差し押さえる(強制執行)ことができないという点です。
- 公正証書がある場合:支払いが滞れば、裁判所の手続きを経て、給与や預貯金を差し押さえることができます(「執行受諾文言」付きの場合)。
- 公正証書がない場合(ただの私的な合意書や口約束):強制執行をするためには、まず裁判を起こして判決を得るか、調停や審判を経る必要があります。時間も費用も精神的な負担もかかります。
リスク2:「言った言わない」の水掛け論になる
口頭での約束や、ご自身たちで簡単に作成した合意書では、後になって「そんなことは言っていない」「合意書の内容を忘れた/違う意味で解釈していた」といった記憶の食い違いが生じやすいです。
特に長期にわたる養育費の支払いにおいては、相手の生活状況や再婚などにより、当初の約束を反故にしようとするケースは少なくありません。
リスク3:約束の証明が困難になる
取り決め内容を紙に起こしていたとしても、その書面に重要な項目(支払期日、金額、支払い方法、取り決めをした日付、双方の署名・捺印など)の記載漏れがあったり、そもそも紛失してしまったりするリスクがあります。いざという時に、取り決めを証明する証拠がなければ、泣き寝入りになってしまう可能性も否定できません。
「言った言わない」の泥沼を避けるための確実な方法
こうしたリスクを避け、ご自身と子どもの未来を守るために、行政書士として強くおすすめする方法は以下の2つです。
1. 「離婚協議書」の作成(行政書士にご依頼を)
まずは、お二人で合意した内容を漏れなく、法的に有効な形で文書化することです。これが「離婚協議書」です。
- 行政書士に依頼するメリット:
- 専門家の視点: 養育費、財産分与、慰謝料、年金分割、面会交流など、将来トラブルになりやすい項目を漏れなく盛り込みます。
- 明確な文言: 曖昧な表現を避け、誰が見ても解釈の余地がない法的に明確な文言で作成します。
- 後の公正証書作成へのスムーズな移行: 協議書があれば、それをベースに公証役場での手続きをスムーズに進められます。
2. 離婚協議書を「公正証書」にする
離婚協議書を作成した後、さらに一歩進んで、それを公正証書にすることこそが、最も確実な対策です。
公正証書は、裁判所の判決と同じように強い証明力と執行力(執行受諾文言を付加した場合)を持ちます。これは私的な文書にはない、公的な効力です。
- 執行力という最強の武器:公正証書で「養育費の支払いが滞った場合は強制執行に服します」という文言を入れておけば、裁判をすることなく、相手の財産を差し押さえることが可能になります。これは、離婚後の生活の最大の安心材料となります。
まとめ
離婚はゴールではなく、新しいスタートです。感情的になりやすい時期だからこそ、将来の不安を解消するため、冷静かつ客観的な「証拠」を残すことが何より重要です。
口約束や簡単なメモではなく、離婚協議書を作成し、できれば公正証書にしておくこと。これが、あなたとあなたの家族を「言った言わない」の泥沼や、支払いの不安から守る、行政書士として最も強く推奨する「護身術」です。
お困りの方はご相談ください
当事務所では、お客様の状況を丁寧にヒアリングし、将来の不安を解消するための、オーダーメイドの離婚協議書作成をサポートしております。公正証書作成のサポートもお任せください。
まずは、お気軽にご相談ください。

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